ニューヨーク証券取引所が中国通信大手上場廃止を進める件についての、大手新聞各社の記事比較。朝日新聞は中国の軍産複合体・スパイ行為等については言及せず、中国商務省の言い分を掲載

ニューヨーク証券取引所が中国通信大手上場廃止を進める件についての、大手新聞各社の記事比較。朝日新聞は中国の軍産複合体・スパイ行為等については言及せず、中国商務省の言い分を掲載

2021年の年明け三が日に、ニューヨーク証券取引所が中国の通信大手3社の上場廃止手続きを開始するとの各社報道がありました。
この報道について、各紙で微妙なニュアンスの違いがあったのでここで取り上げておきたいと思います。

読売新聞、産経新聞、朝日新聞、毎日新聞から当該記事を引用しますが、以下の
・黒の太字部分は「中国軍関連企業に対する米国からの投資を禁止する大統領令」である部分
・赤の太字部分は「民間企業だが、中国の軍事やスパイ活動の軍産複合体」であると更に突っ込んだ指摘をしている部分
となります。
この点に留意しつつ読み進めてみてください。
※いずれも本文中の太字部分は筆者

読売新聞と産経新聞

【読売新聞】NY証券取引所、中国の通信大手3社の上場廃止手続き開始 2021/01/02
大統領令では、中国軍関連企業について「表向きは民間企業だが、中国の軍事やスパイ活動を支援している」などと批判

引用:https://www.yomiuri.co.jp/economy/20210102-OYT1T50032/

【産経新聞】中国の通信大手上場廃止へ NY証取、大統領令受け 2021.1.1
中国軍を支援していると見なした中国企業への投資を禁止したことを受けた措置
~中略~
昨年11月の大統領令では「中国は軍民融合という国家戦略を通じて軍産複合体の規模を拡大させている」と指摘した。

引用:https://www.sankei.com/world/news/210101/wor2101010019-n1.html

以上のように、中国軍関連企業に対する米国からの投資を禁止する大統領令であるという部分と(黒太字)、更に中国軍関連企業は軍産複合体である、または軍事やスパイ活動を支援しているなど、更に一段踏み込んだ指摘(赤太字)があります。

一方、朝日新聞

【朝日新聞】NY証取、大統領令受け中国通信3社を上場廃止へ 中国反発 2021年1月4日
中国軍関連企業への投資を禁じる11月の大統領令を受けた措置で、指数算出企業などは対象から除外する動きがでていた。

 上場廃止となるのは中国電信(チャイナテレコム)、中国移動(チャイナモバイル)、中国聯通(チャイナユニコム)香港の3社で、大統領令による取引禁止を受け上場には適さないとの判断を示した。

 1月7日か11日から売買を停止する予定。

 これに対して中国商務省は2日、中国企業の権益を守るため「必要な措置を講じる」と表明した。

 商務省は声明で、NY証取の措置は「市場ルールに沿っておらず、市場の論理に違反している。中国企業の法的権利を阻害するだけでなく、米国など投資家の利益にも悪影響を及ぼす」とした。

 一方で、両国の通商関係正常化に向けた対話も呼び掛けた。

引用(リンク切れ):http://www.asahi.com/business/reuters/CRBKBN2980PR.html

以上のように「中国軍関連企業に対する米国からの投資を禁止する大統領令」の部分はありますが、「民間企業だが、中国の軍事やスパイ活動の軍産複合体」であると指摘する箇所はありません。
その代わりに、後半は中国商務省の言い分を何の批評も無くそのまま掲載しています。
もう一度言いますが、朝日新聞は中国の軍事やスパイ活動の軍産複合体であるという指摘はせずに、中国商務省の言い分を掲載しているんです。
これは両論併記のつもりでしょうか?
また、タイトルには「中国反発」と書き、読みようによっては米国の横暴のようにも読めますね。

ちなみに、これはロイター配信の記事そのままで、ロイターのサイトでも全く同様の記事が掲載されています。

  • 【ロイター】NY証取、大統領令受け中国通信3社を上場廃止へ 中国反発 JANUARY 4, 2021
    https://www.reuters.com/article/usa-china-nyse-delisting-idJPL4N2JE03Q

なお、毎日新聞は有料記事のため途中で本文が切れており、全文の確認ができませんでした。

【毎日新聞】中国の通信大手3社を上場廃止へ NY証取、大統領令受け 2021年1月2日
 ニューヨーク証券取引所は1日までに、中国の通信大手3社の上場廃止手続きを開始すると発表した。トランプ米大統領が昨年11月に署名した大統領令で、中国軍を支援していると見なした中国企業への投資を禁止したことを受けた措置
 3社は中国移動通信(チャイナモバイル)、中国電信(チャイナテレコム)、中国聯通(…

引用:https://mainichi.jp/articles/20210102/k00/00m/030/049000c

以上ですが、このように朝日新聞は、日々、ちょっとしたニュアンスの違いで中国びいきの報道をしていると言えるのではないでしょうか。
いかが思われるでしょうか。

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