日本の防衛費の伸びを批判する朝日新聞の報道は妥当なのか?
昨年の事なのでやや古い情報ではありますが、日本の防衛予算案が5.3兆円で過去最大を記録したと各種メディアが報じておりました。
伸び率は朝日新聞によると前年度当初から1.1%増で、これを朝日新聞は社説も交えて最大限に非難しています。
以下、2019年12月20日の朝日新聞の記事から引用してみましょう。
【朝日新聞】防衛予算案5.3兆円、過去最大 高い米製品の購入続く 2019年12月20日
2020年度当初予算案の防衛費は、前年度当初から1・1%増の5兆3133億円となり、6年連続で過去最高を更新した。
~中略~
トランプ米大統領の「バイ・アメリカン(米国製品を買おう)」に応じ、高額装備品の購入も続く。引用:https://www.asahi.com/articles/ASMDN4J9RMDNUTFK00B.html
これは朝日新聞の基本的な論調で、続く2019年12月23日の社説でも同様の内容でした。
こちらも引用してみましょう。
【朝日新聞】(社説)膨らむ防衛費 ゆがみを生む対米配慮 2019/12/23
トランプ米大統領の求めに呼応するかのように、米国製の高額な最新鋭兵器を買いまくることが、防衛予算のあり方をゆがめはしないか。厳しい財政事情の下、その費用対効果が厳しく吟味されなければならない。
安倍政権が決めた2020年度の当初予算案で、防衛費が今年度当初に比べ、1・1%増の5兆3133億円となり、6年連続で過去最大を更新した。
~中略~
安倍首相は1月の施政方針演説で、安全保障環境の激変に対応した防衛力の構築に向け、「従来とは抜本的に異なる速度で変革を推し進める」と語った。その帰結が米国製兵器の大量購入だとすれば、トランプ氏への政治的配慮が優先され、妥当性の分析がおろそかになっていると言わざるを得ない。引用:https://www.asahi.com/sp/articles/DA3S14303890.html
これでは「安倍首相がトランプ大統領の要求に応じて、高い装備品を買わされた」「妥当性の分析もろくにせず前年度比1.1%増で6年連続過去最大を更新させるなど、とんでもない事である」ようにしか読めません。
本当にそうなのでしょうか?
朝日新聞は日本の防衛費が前年度比1.1%増になったのを非難しておりますが、隣国の中国は1.1%増どころではありません。
直近の10年だけ見ても2009年から2019年時点までで公表額で倍ほど、中国機に対する空自の緊急発進回数でいうと年間数百回です。
防衛費の伸び率の報道とともに、それが妥当であるかどうか読者に判断してもらえるように、これら周辺国の情報を提供出来ているでしょうか?
全く出来ていないと言わざるを得ないです。
これでは「偏向報道・印象操作」と言われても仕方ないのではないでしょうか?
以下、当サイトの記事ですが、中国の過去の軍事費の伸び率、空自のスクランブルの状況、主要各国の軍事費の状況を記述していますのでよろしければ参照ください。
- 中国の国防費(軍事費)と主要各国の国防費について 2020.05.09
また、つい最近はこのような報道もありました。
中国とロシアの爆撃機の編隊が尖閣に向け飛行していたそうです。
中露爆撃機、再び尖閣に向け編隊飛行 空自スクランブル 2020.12.23
防衛省統合幕僚監部は22日、日本海や東シナ海を飛行した中国とロシアの爆撃機計6機に航空自衛隊戦闘機が緊急発進(スクランブル)したと発表した。
引用:https://www.sankei.com/politics/news/201223/plt2012230002-n1.html
年々、確実に日本に対する軍事的脅威は増しています。
なお、今年に入ってからの産経新聞の報道では以下の通りです。
【産経新聞】【風を読む】防衛費で韓国に抜かれる日 論説副委員長・榊原智 2020.12.22
令和3(2021)年度予算案が閣議決定された。防衛費は前年度当初比0・5%増で、過去最多の5兆3422億円である。
~中略~
中国が公表した2020年度の国防費は前年度比6・6%増の約19兆1千億円だ。しかも米国防総省は公表額よりも3兆円以上多いとみている。引用:https://www.sankei.com/column/news/201222/clm2012220006-n1.html
・2021年度の日本の防衛費は前年度当初比0・5%増で、過去最多の5兆3422億円
・中国が公表した2020年度の国防費は前年度比6・6%増の約19兆1千億円
だそうです。
朝日新聞と違い、きっちりと対比できる形で報道されております。
また、読売新聞では以下のような論調です。
-
【読売新聞】防衛費概算要求 新たな領域の能力向上を図れ 2020/10/04
https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20201003-OYT1T50303/
まだまだオールドメディア全体が死んだ訳ではない、最低限の良心が残されていると信じたいものですね。
関連リンク
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