自衛隊の予算不足が深刻化…必要な迎撃ミサイル6割、装備品稼働率5割の有様で継戦能力に支障も

自衛隊の予算不足が深刻化…必要な迎撃ミサイル6割、装備品稼働率5割の有様で継戦能力に支障も

自衛隊の弾薬不足、装備の部品不足が深刻化しているという。
「たまに撃つ、弾が無いのが玉に傷」という自虐的な自衛隊川柳が我々一般人の間でもたまに見聞きするくらいである。
弾が足らないため訓練も減らされているそうだ。

予算不足で足りない弾薬、既に継戦能力に支障

慢性的な予算不足で、その限られた予算では当然のように備蓄弾薬には回らず、継戦能力に支障が出るとまで言われている。
実際自衛隊では、トイレットペーパーすら隊員が自腹で買う事があるという。

現在進行形でロシアに侵略されているウクライナの例を見るまでもなく、継戦能力、兵站とは想像以上に重要だ。
素人でもわかり切った話だが、一度侵攻されればそれが数日で終わるはずもなく、数ヶ月、数年はその状態が継続される。
中でも近年脅威が増加している中国や北朝鮮の弾道ミサイルに関しての防衛は、イージス艦のSM3ミサイルと、地上配備のパトリオットの二段構えであるが、こちらについては必要数に対する充足率は何と6割程度でしかないという。(防衛省の発表による)
特に、沖縄周辺で予想される有事に対しては、陸自の試算によると必要な迫撃砲弾、ロケット弾の備蓄は現状の20倍は必要だそうだ。
これではとても足りない。
あっという間に国土、領海が蹂躙されるかもしれない。

また、「火薬類取締法」によって弾薬庫の建設、弾薬の輸送の面でも自衛隊に厳しい制限が課せられたままだそうだ。どうにかならないものなのか。

【画像】イージス艦

機体の部品取りの「共食い」が常態化

それだけではない。
必要な戦闘機や哨戒機のメンテナンス用部品も他の機体から取り外して転用・流用するいわゆる「共食い」状態にある。
10年ほど前から常態化しており、当然、部品を外された機体は飛べない。
これではパイロットの練度や士気がどうのこうのというレベルではない。

防衛装備品としては5割は稼働せずで約半数は整備中、残りは部品も予算も無い「整備待ち」なのだという。(日経新聞より)
整備待ちというより、目処が立っていないのだろう。
隊員が気の毒だ何だという次元を通り越して日本の安全保障、我々の命に直結する大問題だ。

これではメーカー側も生産ラインを維持できないし、生産そのものが終了した機体もあり新規で部品が手に入らなくなっているという。
縮小している防衛産業が完全に壊滅すれば、いざ有事ともなれば海外の支援に頼るしか無くなるが、ウクライナと違い欧州と地続きでない極東の非白人国家の島国・日本などは簡単に見捨てられてしまうかもしれない。
要は防衛費とは我々の安全と生命の要なのだ。

【画像】10式戦車

防衛費の対GDP比

日本の防衛費は21年度予算でGDP比0.95%だとされていたが、東京新聞の試算によると補正予算込みで1.24%になるという。
東京新聞はこれを「発表よりたくさん貰っているじゃないか!」というネガティブなニュアンスで伝えているが、これはアメリカはもちろん欧州NATO加盟の先進国より少ない。
それどころか同じ極東アジアでも台湾はすでにGDP比2・4%を超えているし、韓国と比べても少ないのだ。
大事なところなので2回言いますが、対GDP比でいうと、日本は韓国より少ない。

防衛費の増額を目指す防衛省と岸田首相

そのような状況であるので、防衛省は23年は必要な予算確保を目指すそうだし、岸田首相もGDP比の2%程度に増額するよう関係各所に指示を出している。財源をどうするかはともかく、それ自体遅すぎるものの、まずは妥当な内容だろう。
これについて早速、朝日新聞や毎日新聞その他マスコミや共産党など一部野党は猛批判を展開しているが、それは別の機会に触れようと思う。
これに軍国主義だの何だのとケチをつけるとは、まるでどこかの国の走狗のようだ。

あわせて読んでください

参考記事

  • 【日経新聞】防衛装備品、5割が稼働できず 弾薬など脆弱な継戦能力 防衛費を問う② 2022年9月5日
    https://www.nikkei.com/article/DGXZQODE265A70W2A820C2000000/
  • 【産経新聞】迎撃ミサイル充足率6割 予算不足深刻 2022/10/21
    https://www.sankei.com/article/20221021-SS7THM6PRNNERHZNY7QAFBXAQI/
  • 【産経新聞】<独自>対中有事で弾薬20倍必要 九州・沖縄の備蓄1割 2022/8/12
    https://www.sankei.com/article/20220812-KRVX7YKJEJI3LBHNVSC7ZCOW4A/
  • 【時事通信】弾薬、部品不足が深刻化 防衛省、継戦能力に危機感 2022年10月31日
    https://www.jiji.com/jc/article?k=2022103000271
  • 【読売新聞】弾薬の不足 継戦能力の不安を解消したい 2022/11/06
    https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20221105-OYT1T50267/
  • 【日刊SPA!】自衛隊の「武器・弾薬・燃料・人員」は十分か? 2019年03月23日
    https://nikkan-spa.jp/1560586/2
  • 【zakzak:夕刊フジ】予算不足で自衛隊「共食い修理」の実態 戦闘機や哨戒機に他の機体から部品転用、昨年度3400件も 防衛産業が消滅すれば内側から崩壊 2022.12/8
    https://www.zakzak.co.jp/article/20221208-X27AMFCSA5JI3M4QCHXR2ONQKU/
  • 【東京新聞】日本の防衛費、GDP比で1.24%と判明…「隠す必要ない」と専門家 本紙がNATO基準で試算 2022年1月4日
    https://www.tokyo-np.co.jp/article/152199

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