中国の国防費(軍事費)と主要各国の国防費について
報道しない自由、または偏向報道という言葉がある。
特に中国にとって都合の悪い情報は、新聞、テレビなどの一般のメディアにほとんど、または全くと言っていいほど、とりあげられることがない。
とりあげられたとしても、ほかのニュースに比較して申し訳程度の小さな扱いである。
今回は中国の国防費(=軍事費)や、中国による度重なる領空・領海侵犯について触れてみたい。
中国の軍事関連の情報について、信頼のおける情報元といえば日本の防衛省である。
防衛省は「防衛白書」という白書を毎年刊行しており、書店に行けば1270円(税別)程度で購入できますが、今回はweb上のHTML版を参照してみます。
こちらは勿論無料です。同じく電子書籍、PDF版もあります。
この防衛白書から中国の国防費、中国軍機に対する航空自衛隊の緊急発進の現状、主要各国の国防費の状況を見てみましょう。日本の防衛費がいかに少ないかが分かります。
中国の公表国防費(軍事費)の推移
まずはグラフを見てみましょう。
画像引用:防衛省 令和元年版 防衛白書
http://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_data/2019/image/zuhyo01020201.gif
- 防衛省・自衛隊|令和元年版防衛白書|2 軍事 の図表I-2-2-1(中国の公表国防費の推移)
http://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_data/2019/html/n12202000.html
青い棒グラフを見ての通り毎年増え続け、直近の10年だけ見ても2009年から2019年時点までで倍ほども増加しています。激増ですね。
ここで注意しなければならないのは、中国は軍事費の内訳を公表しておらず、研究開発・装備品・兵器の調達等の支出が含まれていないとみられている点である。
米国や台湾の指摘によると、実際は公表額の2~3倍と見積もられている。
- 参考:参議院;中国の軍事力 ~米国防総省報告書の注目点~ 外交防衛委員会調査室
https://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2006pdf/20061027080.pdf
中国機に対する緊急発進回数の推移
次に、中国機に対する航空自衛隊の緊急発進回数の推移を同じく防衛白書から見てみましょう。
【防衛省】令和元年版 防衛白書
http://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_data/2019/image/zuhyo01020206.gif
- 防衛省・自衛隊|令和元年版防衛白書|2 軍事 の図表I-2-2-6(中国機に対する緊急発進回数の推移)
http://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_data/2019/html/n12202000.html
平成21年からのここ10年間の間に、10倍以上どころではない増え方で、中国による一方的な軍事的威嚇・脅威が高まっているといえるのではないでしょうか。
また、最新の防衛白書では平成30年までの集計しか掲載されていませんが、統合幕僚監部発表によると、翌年の令和元年の緊急発進回数は675回であり、これは史上三番目に多い回数となっています。こちらも激増しています。
- 参考:統合幕僚監部報道発表資料 令和元年度の緊急発進実施状況について(令和2年4月9日)
https://www.mod.go.jp/js/Press/press2020/press_pdf/p20200409_01.pdf
主要各国の国防費(軍事費)の比較
主要各国の国防費(軍事費)をドル換算したもので見てみましょう。
【防衛省】令和元年版 防衛白書
http://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_data/2019/image/zuhyo02040305.gif
- 防衛省・自衛隊|令和元年版防衛白書|4 各国との比較図表II-4-3-5(主要国の国防費)
http://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_data/2019/html/n24304000.html
GDP比で見ると、主要各国の中で日本が一番国防費が低いことが分かります。
対して中国は公表値で日本の数倍、先にも述べましたように実際は更に多いでしょうから日本の10倍程度はあるのではないでしょうか。
マスコミの報道姿勢について
マスコミはこういった現状を、国民に適正な情報量、内容で伝えていると言えるでしょうか。
国民が自分の頭で考えるための情報を十分に提供できていないと考えています。
これはマスコミの単なる怠慢なのか、それとも何かに忖度しているのか…
それはまた別の記事で触れていきたいと思います。