英議会が中国大使の議事堂への立ち入りを禁止した件にみる、報道しない自由の一例

英議会が中国大使の議事堂への立ち入りを禁止した件にみる、報道しない自由の一例

英議会は、中国の鄭沢光駐英大使の国会議事堂への立ち入りを禁止したそうです。
鄭沢光駐英大使は、15日に議会下院で開かれる超党派の親中派議員グループの会合に参加予定だったとのこと。

中国が英国上院議員らに制裁を科しているための対抗措置とのことですが、そもそもどうしてこういう事態になったのでしょうか。
各社の報道を見る限りでは以下のような時系列にまとめることができます。

  1. イギリスは、中国新疆(しんきょう)ウイグル自治区で重大な人権侵害があったとして、中国当局者らに対する初の制裁を決定。
  2. 中国はそれに反発し、英国上院議員・下院議員らに中国に関するうそを広めたとして、入国禁止等の制裁を科した。
  3. そんな中、英国の親中派議員達が中国大使をレセプションに招待。
  4. その対抗措置として、今回、英国は中国の鄭沢光駐英大使の国会議事堂への立ち入りを禁止した。

という事です。
この一連の出来事を四大紙で報じなかったのは、朝日新聞と読売新聞でした。
毎日新聞は、共同通信の配信記事をほぼそのままの掲載で、その内容もそもそも英国が新疆ウイグル自治区での人権侵害を問題視していた事実に触れず、単に中国の制裁への反発であるかのような書き方をしていました。
上記の1.のくだりがそっくり抜け落ちています。
これでは物事の本質が見えないのではないでしょうか。
ウイグル問題では中国側に立つかのような記事が多い共同通信の論調そのままですね。

これは記事の読み比べをしてみれば一目瞭然です。
各社の記事を引用してみましょう。
まずは報道の発端となったBBCから。

【BBC】英議会、中国大使を立ち入り禁止に 議員への制裁に対抗 2021年9月15日
イギリスはこれに先立ち、中国・新疆ウイグル自治区でで人権が侵害されているとして、中国当局者らに対する初の制裁を科していた。

引用:https://www.bbc.com/japanese/58567297

次に産経新聞、NHK、時事通信の記事を見ていきましょう。
ウイグル自治区の深刻な人権侵害についての言及がきっちりとなされています。

【産経新聞】英議会、中国大使を出入り禁止に 中国側は反発 2021/9/15
英政府は今年3月、中国新疆(しんきょう)ウイグル自治区で深刻な人権侵害に関与したとして、中国当局者らへの制裁を発表。中国側は対抗措置として、同自治区の人権問題を批判していた英議員らに対し、中国への入国禁止などの制裁を科した。

引用:https://www.sankei.com/article/20210915-MCIDJIOM7JOTFNNIRBAK6DQLGU/

【NHK】英議会 中国大使の議事堂への立ち入り禁止方針 人権問題めぐり 2021年9月15日
中国はことし3月、新疆ウイグル自治区の人権問題をめぐって、イギリスが自治区の当局者の資産を凍結したことなどへの対抗措置として、イギリス議会の議員らに対し中国への渡航を禁止するなどの制裁を科しています。

イギリスのホイル下院議長は、地元メディアに対し、議員に制裁が科されているときに、中国の大使が議事堂で開かれる会合に参加するのは適切ではないという考えを示しました。

引用:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210915/k10013261641000.html

【時事通信】中国大使、出入り禁止に 英議会、議員制裁に対抗 2021年09月15日
英上下両院は14日、中国の鄭沢光駐英大使の議会への出入りを禁止した。新疆ウイグル自治区の人権問題をめぐり、批判的な英議員に中国が制裁を科したことへの対抗措置。

引用:https://www.jiji.com/jc/article?k=2021091500212

では次に共同通信、毎日新聞の記事を見てみましょう。
毎日の記事は先に述べましたように、見出し以外は共同の配信記事そのままですね。
ウイグルの人権侵害の件は一文字も出てきません。

【共同通信】英議会、中国大使の立ち入り禁止 議員制裁に対抗 2021/9/15
鄭氏は、国会議事堂内で15日に開かれる親中派議員のレセプションに参加予定だったが、中国から制裁対象に指定された英議員らが反発し、鄭氏の立ち入り阻止を求めていた。

引用:https://nordot.app/810678194590957568

【毎日新聞】英、中国大使の国会議事堂への立ち入り禁止へ 議員制裁に対抗 2021/9/15
鄭氏は、国会議事堂内で15日に開かれる親中派議員のレセプションに参加予定だったが、中国から制裁対象に指定された英議員らが反発し、鄭氏の立ち入り阻止を求めていた。

引用:https://mainichi.jp/articles/20210915/k00/00m/030/115000c

これが日本のマスコミのやり方ですね。もう一度書いておきますが、朝日新聞と読売新聞はそもそもこの事態を報道していないようです。
※サイト内検索、Google検索で該当記事が無いことを確認

以上、報道しない自由の一例でした。

なお、共同通信がウイグルジェノサイドについて普段どのような論調かは、こちらの記事を参照ください。

  • ウイグルジェノサイドを否定する共同通信客員論説委員の主張が、中国の人民日報に掲載されている 2021.08.24
    https://houdou-shinai-jiyu.net/manipulation/2021/08/article-kyodo-20210827.html

その共同通信は全国の地方紙に記事を配信していて、影響力は実質四大紙以上かもしれない、という話は以下を参照ください。

  • 「地方紙」を通して共同通信の偏向報道が拡散される現状を、実例を挙げて紹介します 2020.10.22
    https://houdou-shinai-jiyu.net/manipulation/2020/10/article-kyodo-local-20201022.html

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