一帯一路を捨てたイタリアと沈黙するメディア―メローニ首相来日ニュースは首相の誕生日だけか?

一帯一路を捨てたイタリアと沈黙するメディア―メローニ首相来日ニュースは首相の誕生日だけか?

2026年は、1866年に日伊修好通商条約が締結されてから160周年にあたる記念すべき年に、安全保障・経済の両面で極めて重要な合意がなされた今回のメローニ首相来日。

メローニ首相は、このアニバーサリーイヤーの幕開けを飾る「実務訪問賓客」として、2026年1月15日に来日しました。

今回の会談で、両国の関係はこれまでの「戦略的パートナーシップ」から、さらに踏み込んだ「特別な戦略的パートナーシップ」へと格上げされました。

従来の外交プロトコルを超えた「親密さ」と、未来を見据えた「実利」が交錯する極めて異例なものとなった。

しかし、既存のオールドメディアの多くは、この国家の命運を左右する戦略的転換点を驚くほど小さく扱い、あるいは女性首脳同士の「演出」のみを切り取る矮小化した報道に終始。
国際情勢の激変から目を背け、本質的な議論を報じないマスメディアの姿勢が、改めて浮き彫りとなっている。

中国を通り過ぎ、日本へ―鮮明な「価値観外交」

今回のメローニ氏のアジア歴訪において、最も国際社会が注目したのは「中国を訪問せず、日本と韓国を優先した」という点だ。
イタリアは2023年末、G7で唯一参加していた中国の「一帯一路」から正式に離脱。

メローニ首相は就任前から、G7メンバーでありながら一帯一路に参加することを「大きな間違い」と断言していた。

今回の来日では、重要鉱物のサプライチェーン構築や宇宙協力に関する新協議体の設置に合意したが、これらはすべて「経済的威圧」を強める中国への依存を減らす(デリスキング)ための布石である。

メローニ首相は共同記者発表で、「遠く離れた二つの国だが、ますます近づいている」と言及。 中国という巨大市場よりも、価値観を共有する日本との「信頼の絆」を優先する姿勢を鮮明に打ち出した。

メローニ首相は「自由、民主主義、法の支配」を共有する日本を、アジアにおける最優先の戦略パートナーと位置づけています。

中国を仮想敵国と見なしうる防衛分野で日本やイギリスと組むことは、中国との距離を置くことを意味している。

次に触れる「次期戦闘機の共同開発(GCAP)」が象徴的だ。

「次期戦闘機」で結ばれる安保の盾

会談の核心のひとつとなったのは、日本・イタリア・イギリスの3カ国のGCAP(グローバル戦闘航空プログラム)による第6世代の次期戦闘機の共同開発だ。

2035年の配備開始に向け、政府間機関「GIGO」を通じた連携加速で一致した。

何故イタリアとパートナーなのか?

技術の補完
イタリアのレオナルド社(防衛大手)は、電子戦やセンサー技術に強みを持っており、日本の三菱重工業やイギリスのBAEシステムズとの技術的な相性が非常に良いとされている。
コストとリスクの分散
第6世代と呼ばれる次世代戦闘機の開発には数兆円規模の予算が必要です。これを1国で負担するのは困難なため、志を同じくする国々で分担するメリットがある。

会談では、以下のマイルストーンを共有したと見られる。

  1. 2026年〜: 民間企業レベルでの本格的な設計作業と開発拠点の整備
  2. 2030年頃: プロトタイプ(試作機)の初飛行
  3. 2035年: 量産機の配備開始

防衛当局間の共同訓練や技術交流を深め、欧州とインド太平洋の安全保障を不可分とする認識を共有。

単に「機体を作る」だけでなく、自衛隊とイタリア軍の共同訓練や、装備品の相互運用性を高めるなど、より広範な防衛協力に結びつける方針で一致。

AIや宇宙通信といった最先端の軍事技術を共有する「技術同盟」としての性格を強めた形だ。

漫画を通じたソフトパワー外交

政治的な成果の一方で、メローニ首相の「親日家」としての素顔も話題を呼んだ。来日中には、かねてよりファンを公言していた『北斗の拳』の原哲夫氏と対面。ケンシロウとラオウが描かれた版画を贈られ、笑顔を見せる一幕もあった。

このソフトパワーの交流は、硬直化しがちな外交交渉において、両国民の距離を一気に縮める大きな役割を果たしたと言える。

「サナエ・ジョルジャ」の強い絆、異例の厚遇

1月16日、首相官邸で行われた首脳会談は、終始和やかな雰囲気で進められた。
両国初の女性首相という共通点を持つ二人は、互いを「サナエ」「ジョルジャ」とファーストネームで呼び合う仲。

会談前日の15日に49歳の誕生日を迎えたメローニ首相に対し、高市首相がイタリア語で「ハッピーバースデー」を歌い、特製のショートケーキで祝うというサプライズ演出もあった。この個人的な信頼関係が、今回の最大の成果である「特別な戦略的パートナーシップ」への格上げを象徴している。

黙殺される「歴史的転換点」―メディアの沈黙が示すもの

これほどまでに多層的かつ戦略的な合意がなされた会談であったにもかかわらず、日本の既存メディア、いわゆるオールドメディアの扱いは不当なほどに小さかったと言わざるを得ない。

テレビ報道を見ていても女性首脳同士の誕生日会やキティちゃん、あるいは漫画といった「ソフトな話題」のみをワイドショー的に切り取る一方で、次期戦闘機開発やサプライチェーンの強靭化といった国家の根幹に関わる合意事項は、見たためしが無かった。

この不可解なほど低い関心の背景には、イタリアの明確な「脱・中国」姿勢に対するマスコミの、隣国への「忖度」があるのではないかとの疑念を禁じ得ない。

会談の内容は、見れば見るほど中国にとって都合の悪い事ばかりだからだ。

G7で唯一「一帯一路」から離脱し、中国の経済的威圧に真っ向から異を唱えるメローニ首相の姿勢を大きく報じることは、特定の勢力にとって都合が悪いという判断が働いたのだろうか?
それともマスコミ人の知的レベルが反映されただけだったのか?

いずれにしても日本のメディアへの絶望が深まるばかりだった。

参考記事

  • 【首相官邸】日伊首脳会談(2)令和8年1月16日
    https://www.kantei.go.jp/jp/104/actions/202601/16Italy2.html

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