米へのフェンタニル密輸で中国組織が日本を拠点に、マスコミは報道しない自由発動か

米へのフェンタニル密輸で中国組織が日本を拠点に、マスコミは報道しない自由発動か

近年、これほどメディアが揃って「報道しない自由」を発動した例があっただろうか。
合成麻薬「フェンタニル」を中国系組織が日本・名古屋を経由してアメリカへ密輸していた事件についてだ。

このフェンタニルは、アメリカで年間約7万人の死者を出すほど蔓延し、「ゾンビドラッグ」として知られ深刻な社会問題を引き起こしている。
グラス駐日米大使は、日本を経由した密輸に「中国共産党が関与している」と明言しているにもかかわらず、日本の主要新聞やテレビはこの重大な密輸事件をほとんど取り上げていない。

一体何が起きているのか?

フェンタニルとは

フェンタニルは、強力な合成オピオイド系(鎮痛効果や多幸感を生み出す)鎮痛剤で、医療現場では主に重度の疼痛管理(例:がん患者など)に使用されているものだ。
モルヒネの50~100倍の効力があり、約2mgで致死量に達するという。

ヘロインやコカインに混ぜられ相乗効果を生み、致死的な過剰摂取をもたらしている。

アメリカからの映像で、路上でゾンビのようにうなだれてフラフラ歩いていたり、倒れ込んだりしているのを見た事が無いだろうか?

あの「ゾンビドラッグ」がこれである。

アメリカだけでなくカナダのバンクーバーあたりでも麻薬汚染が進んでおりダウンタウンは「ゾンビタウン」と化しているそうだ。

ちなみに、大阪の西成でも中毒者の目撃情報が寄せられている。

フェンタニル密輸ルートのカナダ、メキシコにトランプ関税

【画像】カナダ国旗

フェンタニルは、これまでアメリカにはカナダ、メキシコからの違法ルートで流入していた。

この流入経路に怒り心頭なのがトランプ大統領である。

トランプ大統領は、フェンタニルの原料が中国からカナダを経由しアメリカに流入している、カナダは非常に悪質な違反国であると強く非難。

カナダとメキシコには、フェンタニルのアメリカ流入に歯止めをかけなかったとして、20〜25%の追加関税を課したほどである。

このあたりの情報は2024年〜25年初頭まで「ゾンビタウン」やフェンタニルの脅威として取り上げられ、日本での関心が高まり、複数のテレビ、新聞などで報道されていた。

日本も流入経路のひとつだった

ところが、日本も流入経路のひとつだったという記事が6月25日、日経新聞に大々的に載った。

中国組織が日本に拠点をつくり司令役が滞在したうえで「フェンタニル」を米国に不正輸出していたというのである。

アメリカで危険物質の違法流入の疑いでDEA(米麻薬取締局)に逮捕された人物は「弊社には2人のボスがいる。1人は日本にいて、もう1人がこの私だ」と証言している。

この逮捕された人物が所属する組織と実質的に同一の組織が、愛知県名古屋市西区に法人を設立し、密輸の拠点としていた。

自民党政権下で緩和された経営管理ビザで中国人が日本に入りやすくなっているが、その影響もあると思われる。

いま、愛知県では経営管理ビザを取得した在日中国人が増加しているという。
名古屋には華僑グループがあり、それを足がかりにフェンタニル密輸を繰り返していた可能性がある。

もしトン単位でアメリカに流入すれば凄まじい数の人々が犠牲になる「麻薬テロ」である。

もしくは現代版「アヘン戦争」か。
実際、アメリカでは中国がアヘン戦争を仕掛けていると見る人もいるようだ。

グラス駐日米大使のポスト

6月26日、ジョージ・グラス駐日米大使はXのポストで「中国共産党はこの危機を意図的にあおっています。中国からのフェンタニルやその前駆体化学物質の密輸には中国共産党が関与しており」と中国共産党が関与していると明確に述べている。
以下は実際のポストだ。

つまり、中国は通常戦力を伴わない「超限戦」や「ハイブリッド攻撃」の一種として「薬物戦」を仕掛けていると見做して良いだろう。

かつてアヘン戦争を仕掛けられた中国は、麻薬汚染が国家に与える悪影響を嫌と言うほど知っている。

だからこそ若者や労働者層を薬漬けにし、社会不安・騒乱状態を巻き起こし、アメリカの国力を削ごうという訳だ。

グラス駐日米大使は日本経由の密輸防止を訴えている。

「中国組織が密輸していた」と報道しないマスコミ

ここまで見てきたように、中国共産党が影響力をふるうと見られる組織のフェンタニル密輸拠点が日本にあったという大事件である。
これをほとんど報道しないのが日本のマスコミ、メディアである。

まずは日経新聞のスクープからはじまり産経新聞が後を追って報道し始めた。

しかし、朝日新聞、読売新聞は全く報道せず(Google検索、サイト内検索調べ)、毎日新聞は7月2日にようやく記事を書いたが「合成麻薬の卸業者に立ち入り」なんていう間の抜けたタイトルで中国の関与が分からないようになっている。(有料記事なので冒頭しか読めなかったが)

それどころか毎日新聞は2023年にはアメリカの麻薬危機について「中国だけが悪者か」と中国を擁護するような記事を掲載しており、問題の深刻さを矮小化している

テレビメディアもまた同様で、事の重大さの割にほとんどニュース番組、情報番組などで取り上げられていないようだ。
中国共産党の関与が疑われる事件については、左派マスコミはこぞって「無かった事」にしているのである。

2024年時点で日本は「報道の自由」が70位でG7中最下位だなどとマスコミは騒いだが、何を言っているのか。
報道しない自由の行使についてはG7中1位に違いない。

このままでは日本が直面する国際的な危機に対する認識を鈍らせる結果になる。
国民や視聴者は、多様な情報源から真実を追求し、メディアの「報道しない自由」に立ち向かうべきだ。

参考記事

  • 【日経新聞】合成麻薬の闇 名古屋が結節点
    米・中・メキシコつなぐ地下経路
    米中「新アヘン戦争」の裏側 狙われた日本㊤
    2025年6月26日
    https://www.nikkei.com/telling/DGXZTS00016310U5A600C2000000/
  • 【日経新聞】フェンタニル密輸 「ボス」が執着した日本
    見えてきた偽装のしかけ
    米中「新アヘン戦争」の裏側 狙われた日本㊥
    2025年6月27日
    https://www.nikkei.com/telling/DGXZTS00016320U5A600C2000000/
  • 【毎日新聞】「中国だけが悪者か 死者11万人、過去最悪の麻薬危機に直面する米国」 2023/7/21 https://mainichi.jp/articles/20230720/k00/00m/030/127000c
  • 【JETRO】トランプ米政権、メキシコとカナダに対する追加関税措置のファクトシート発表 2025年03月05日
    https://www.jetro.go.jp/biznews/2025/03/1dd349d18d852302.html

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