中国によるウイグル族への弾圧を米新政権が「民族大虐殺、ジェノサイド」であると認定した事について、報道各社の記事比較。朝日新聞は「不妊手術の強制」については記述せず

中国によるウイグル族への弾圧を米新政権が「民族大虐殺、ジェノサイド」であると認定した事について、報道各社の記事比較。朝日新聞は「不妊手術の強制」については記述せず

2021年1月20日、中国によるウイグル族への弾圧を米新政権が「民族大虐殺、ジェノサイド」であると認定したとの報道があったのは皆さんご存知だと思います。
中国のウイグル民族弾圧は、投獄、拷問、強制労働、殺戮だけでなく、民族の抹殺を図る「不妊手術の強制」も行われているとの指摘も含まれておりました。
この不妊手術の強制、つまり女・子供を狙って殺すというのは将来的に民族抹殺・消滅をさせるための常套手段でもあります。
大手新聞・テレビ各社がこの点に触れるかどうかは重要なポイントだと思いますが、朝日新聞と共同通信は「不妊手術の強制」について言及することはありませんでした。

参考までに、この拷問・虐殺の実態を「世界ウイグル会議」公式サイトの記事から、引用しておきます。

世界ウイグル会議公式サイト:【野口裕之の軍事情勢】拷問を隠す中国が、公表した米国を非難する鉄面皮 2014年12月22日
静岡大学の楊海英教授(50)の調べでは、舌を切り取られ、妊婦の胎内より胎児を引きずり出される拷問が平然と実行されている。

引用:https://www.uyghurcongress.org/jp/【野口裕之の軍事情勢】拷問を隠す中国が、公表/

この記事を読めば分かりますが、不妊手術の強制どころでは無く、虐殺そのものですね。

ウイグルの無邪気な子供の写真

※画像はイメージです:
https://www.photolibrary.jp

それでは以下、具体的に各社の記事を引用しながら見ていきましょう。

報道各社の記事比較

ここでは、その記事の中で米国政府が中国のウイグル弾圧を「ジェノサイド(民族大量虐殺)」と認定したかどうかの言及だけでなく

  • 具体的な民族抹殺の手段にまで言及したか
  • 不妊手術の強制に言及したか

の観点で記事を比較していきます。

まずは日経新聞、産経新聞、読売新聞、毎日新聞、NHK、朝日新聞、東京新聞(共同通信)、TBSの順に見ていきましょう。
※いずれも、赤字は引用者注

【日経新聞】「ウイグル族弾圧は虐殺」米国務長官が認定 中国は猛反発 2021年1月20日
100万人超の市民の恣意的な投獄や不妊手術の強制、拷問、強制労働などが課されてきたと指弾した。「虐殺はいまも続いていると確信している」と表明した。

引用:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM208FB0Q1A120C2000000

【産経新聞】中国のウイグル弾圧「民族大量虐殺」と認定 米国 2021.1.20
自治区で100万人以上を恣意(しい)的に投獄または過酷に拘束し、その大半を拷問にかけ、強制的に不妊手術をさせていると指摘した。

引用:https://www.sankei.com/world/news/210120/wor2101200003-n1.html

【読売新聞】ポンペオ氏、中国のウイグル族弾圧は「集団殺害」…中国側は「でっち上げだ」 2021/01/20
100万人を上回るウイグル族市民らの不当拘束や、女性への不妊手術の強制などを理由に挙げた。

引用:https://www.yomiuri.co.jp/world/uspresident2020/20210120-OYT1T50087/

【毎日新聞】米国務長官、中国のウイグル弾圧「大量虐殺」認定 新政権に対中強硬路線継承 2021年1月20日
100万人以上を強制収容してきたと指摘し、不妊手術、強制労働、拷問、信仰・表現の自由への厳しい制限などを加えてきたとした。

引用:https://mainichi.jp/articles/20210120/k00/00m/030/079000c

【NHK】米国務長官 “中国政府 ウイグル族らへ「ジェノサイド」” 2021年1月20日
100万人を超える人々が強制的に収容されていることや、女性に対する強制的な不妊手術などが行われていると指摘し、「人道に対する罪」にあたるとしています。

引用:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210120/k10012823711000.html

【朝日新聞】中国のウイグル政策をジェノサイド認定 米新政権も同意 2021/1/20
中国政府は共産党の指示の下、ウイグル族などイスラム教徒の少数民族に対して、強制収容などで100万人以上の自由を奪ったほか、強制労働を課したり信教の自由を制限したりするなどしたと指摘。

引用:https://www.asahi.com/articles/ASP1N3D4MP1NUHBI005.html

【東京新聞(共同通信)】米新政権、対中強硬政策を維持 ウイグル族虐殺認定に同意 2021年01月20日

引用:https://www.tokyo-np.co.jp/amp/article/80876

→具体的な手段の言及一切無し

以下、結果を一覧にまとめてみました。

名称具体的記述の有無
(ジェノサイドについての)
「不妊手術強制」の有無
日経新聞有り有り
産経新聞有り有り
読売新聞有り有り
毎日新聞有り有り
NHK有り有り
朝日新聞有り無し
東京新聞(共同通信)無し無し

以上のように朝日新聞と東京新聞(共同通信)は不妊手術の強制の記述は無しです。
つまり、朝日新聞と共同通信が配信した記事を掲載している地方紙の読者は、中国がウイグルで「不妊手術の強制」を実行している事実を知らされていない、という事になります。
何故こんな重大な事をあえて伏せたままにするのでしょうか?

中国外務省の言い分をそのまま記事に掲載するTBS

TBSは、サイト内で米新政権が民族大虐殺であると認定したという記事を掲載せず(サイト内検索でヒットしない)、代わりに中国外務省がジェノサイドを否定する発言の記事を掲載しています。

【TBS】米国務長官“ウイグル”めぐる発言に中国政府反論 2021年2月28日
「重要なことは3回言います。中国ではジェノサイドはありません。中国ではジェノサイドはありません。中国ではジェノサイドはありません」(中国外務省 趙立堅報道官)

引用:https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4185386.html

「中国ではジェノサイドはありません」、こんなことを3回も記述しています。
TBSはどちらの味方をしているんでしょうか?
これが日本の報道の実態です。多くの人に知っていただきたいと思います。

関連記事

参考記事

  • 日本ウイグル協会は、米国の「ジェノサイド(民族大量虐殺)」認定を歓迎する 2021年01月20日
    https://uyghur-j.org/japan/2021/01/genocide/

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