夫婦別姓見送りで今度は戸籍制度が標的に?「どこでも本籍」「ただのデータベース」論の誤り

2025年5月10日、自民党は選択的夫婦別姓制度の独自法案の今国会提出を見送る方針を固めたそうだ。
自民党内でも積極推進派がおり、もし成立に向けて動き出したらかなりの保守層が離れる事になっただろう。
このニュースが流れはじめた丁度その頃、SNSのX上では複数のインフルエンサー、著名人が同時多発的に「戸籍制度」について批判的なポストをし始めた。
「夫婦別姓がダメなら、次は本丸の戸籍制度の破壊だ!」といったところなのだろうか?
何やら種苗法改正の際に芸能人達が一斉に批判し出したのを思いだす。
以下、実際の投稿を見てみよう。
戸籍なんか廃止でいいだろ笑 https://t.co/Ah73EuViEt
— 堀江貴文(Takafumi Horie、ホリエモン) (@takapon_jp) May 8, 2025
一部に戸籍を偏愛するひとがいますよね。なんでただのデータベースに愛を持てるかわからないですが。 https://t.co/GLlBSbrstS
— 古市憲寿 (@poe1985) May 8, 2025
戸籍は元々大陸由来の制度だが、近年まで現存していたのは、日本、台湾、韓国くらいなもの。しかし韓国は20年くらい前に既に廃止した。
— 辛坊治郎 公認【辛坊の旅N】 (@JiroShinbo_tabi) May 8, 2025
これが世界の真実。
どこでも本籍地を設定できる今の日本の戸籍制度にどんな意味があるのか?
ホリエモンは根本的に正しい。 pic.twitter.com/cbFYd8nI29
ホリエモンは置いといて、ただのデータベースと言ってのける古市憲寿氏や、どこでも本籍地を設定できるので意味が無いと言う辛坊治郎氏は何か勘違い・誤解しているようだ。
犯罪抑止における戸籍制度のメリット
戸籍には、氏名、出生日、親子関係、婚姻・離婚歴、死亡情報などが記録され、個人を一意に特定する情報が含まれる。
本籍地は戸籍を管理する「所在地」に過ぎず、身元情報の核心は戸籍の内容そのものの一元管理と全国データ共有にある。
本籍地が東京ディズニーランドでも、戸籍データは役所で即取得可能で、前科情報は警察の別システムで照合される。
犯罪者が本籍地を北海道の架空住所に設定したが、戸籍謄本の取得が容易で、身元が特定され、前科が警察データベースで確認された、という事例もある。(法務省の一般事例)。
戸籍制度は、本籍地の設定自由度にかかわらず、以下のように犯罪者やその予備軍にとって不利な仕組みとして機能し、犯罪防止効果がある。
- なりすまし詐欺の阻止(例:金融詐欺)
- 不法滞在や不正な市民権取得の防止(例:移民詐欺)
- 犯罪歴の追跡と再犯防止(例:逃亡犯の特定)
- 医療詐欺や保険詐欺の抑制(例:不正な保険利用)
「諸外国には戸籍制度が無い、日本も止めるべき」という声もあるがその諸外国では戸籍制度が無いために、
- あらゆるなりすまし詐欺
- 不法滞在
- 犯罪者が偽名で社会に潜伏
- 人身売買
などが起きやすい。
家族や先祖との繋がりにおける戸籍制度のメリット
戸籍は古市氏の言うような「ただのデータベース」では無い。
- 家族関係の明確な記録
親子関係、兄弟姉妹、配偶者、養子縁組など家族の繋がり - 先祖のルーツ追跡
遡って先祖の情報を追跡可能 - 家族イベントの記録と証明
結婚、離婚、出生、死亡などの家族家族のライフイベント - 家族の法的保護
家族や子孫が社会保障や法的支援を受けられる
これら情報を公的に保証するものだ。
戸籍制度の無い国では、
- 不正結婚
- 子供が法的保護を受けられない
- 養子縁組の記録が不完全で子が生物学的親を追跡できない
- 家族関係の証明が困難で相続紛争がこじれやすい
- ルーツが分からず文化的アイデンティティが失われる
などの問題が生じやすい。
また、「本籍をどこにでも設定できるので意味がない
」という意見は誤解で、本籍地の自由度はルーツや家族の記録に影響を与えない。
戸籍制度を破壊する必要は無い
反対派は何故わざわざ戸籍を破壊したいのか分からない。
単純に家族情報を軽視しているのか、それともルーツを辿られると不都合が生じるのか。
例えば、帰化人が立候補する際などに帰化人かどうかは分からなくなるだろう。
何でもかんでも外国のマネをすれば良いというものではない。
ルーツや家族を軽視する社会的な傾向が、結束力、倫理の低下を呼び国家の弱体化に繋がる可能性はある。
欧米諸外国の行き過ぎた個人主義を見たら分かるだろう。
大災害があっても、大規模な略奪が生じないような国のままであって欲しい。
わざわざ日本的なものを破壊する必要があるか?
参考記事
- 【毎日新聞】自民、夫婦別姓法案の提出見送りへ 野党案に反対する党議拘束も検討 2025/5/10
https://mainichi.jp/articles/20250509/k00/00m/010/341000c