東京新聞記者「日本が拠出金を出すIAEAは中立か」のツイートが誤解を招く可能性ありとしてTwitter上のファクトチェック機能が発動

東京新聞記者「日本が拠出金を出すIAEAは中立か」のツイートが誤解を招く可能性ありとしてTwitter上のファクトチェック機能が発動

Twitterのトレンドに「ファクトチェック」があがっていた。見てみると、東京新聞・望月衣塑子記者の『IAEAは本当に「中立」か』という福島第一原発の処理水に関するツイートに対して「コミュニティノート」で背景情報が付与された、という話題だった。コミュニティノートとは、誤解を招く可能性があるツイートに、ユーザーにとって役に立つ背景情報を提供できるというTwitterの新機能だ。

先日、毎日新聞の『“「日本人なのに不法滞在と宣告されました」 国籍法問う教授の闘い”』というツイートにも同様に、コミュニティノートによって背景情報が付与されたと話題になったばかりだった。
それに続いて、今度は東京新聞とその記者の報道に疑義が呈されたという。
望月記者は何をツイートしていたのか。

IAEAが「中立」かどうか、だって!?

2023年7月4日、IAEAのグロッシ事務局長は岸田文雄首相に渡した包括報告書で、福島原発の処理水海洋放出は「国際的な安全基準に合致」しており、放射線が与える影響は「無視できるほどごくわずか」と評価している。
ALPS(Advanced Liquid Processing System/多核種除去設備)等により、トリチウム以外の放射性物質を除去し、残ったトリチウムも海水を汲み上げて薄めて希釈した後、海洋に放出される。
何ならトリチウムは海外の原発よりも濃度が低いし、そもそも自然界にも普通に存在している。これでダメなら海外の原発は全滅である。
IAEAの評価は科学的だし、もちろん正しい。

科学的な批判が出来なくなった東京新聞とその記者は、今度は「IAEAは中立か」と難癖をつけ始めた。
日本はIAEAに拠出金・分担金を払っているので中立ではない、と主張している。な、何だそれは…

このツイートに対して、拠出金の額はアメリカ、中国に次ぐ第三位で、組織内の日本人率も1.6%にすぎないというコミュニティノートが付いた。
以下がそのツイート。

国際機関である以上、様々な加盟国から金が出ている。当たり前だ。それで中立性を疑うなら国際機関が成り立たない。
それに、IAEA査察団には海洋放出に反対している中国、韓国、ロシアの専門家も含まれている。

東京新聞と望月記者は、IAEAが日本に忖度した証拠、日本が有利になるようデータを捻じ曲げた証拠等を示すべきだ。
それが出来ないなら、ただの難癖を通り越してデマ、陰謀論の類だろう。
むしろ中立性を疑われるのは東京新聞の方だ。

ファクトチェック機関は何をしている?

このような不確かな情報の真偽を確かめ、言論空間の健全性を維持・向上させる目的で設立されたファクトチェック機関がある。非営利団体の日本ファクトチェックセンター(JFC)等だ。

Twitterの日本国内アクティブユーザー数は4500万人とされている。
一方で望月記者の当該ツイートの閲覧回数は7月12日19:00時点で延べ1525万回に達する。大変な数である。

一刻も早くファクトチェックにかけて「健全性の維持」をしてもらいたいものだが、何故かファクトチェックセンターが動く気配は無い。
「30年前のマクドナルドのハンバーガーが65円というのは間違いで、65円で販売していたのは2000年2月から2002年2月」等というどうでも良いファクトチェックをする暇があるんだから、原発デマにまつわるファクトチェック等に力を注いで欲しい。

ちなみに、この日本ファクトチェックセンターの運営委員には、毎日新聞の役員も名を連ねている。
私としては、新聞・テレビへのファクトチェックをしてもらいたいのだが、インターネット上の情報しかチェックしないのだそうだ。
東京新聞風に言うと「ファクトチェックセンターは中立か」といったところか。

関連情報

参考記事

  • 【経済産業省】IAEAが東京電力福島第一原発におけるALPS処理水の安全性レビューに関する包括報告書を公表しました 2023年7月4日
    https://www.meti.go.jp/press/2023/07/20230704005/20230704005.html
  • 【現代ビジネス】「ファクトチェック」の必要性が叫ばれる中、なぜ東電原発事故関連の「フェイクニュース」は野放しのままなのか? 2023/7/9
    https://news.yahoo.co.jp/articles/a3f0154a1f3a4680fc1ebbe0cbc5bc86bf43b5ee

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