福島第一原発処理水の海洋放出に言いがかりをつける中国と、中国側の視点で記事を書く日本の新聞社

2021年12月22日、中国外務省の趙立堅副報道局長は記者会見で、東京電力が福島第一原発処理水の海洋放出に向けた実施計画を原子力規制委員会に申請したことについて、計画の撤回を要求しました。
以下はそれを伝える時事通信の記事です。

【時事通信】中国、処理水海洋放出の撤回要求　2021年12月22日
（リンク切れ）：https://www.jiji.com/jc/article?k=2021122200934

この中国の言い分は非科学的で完全な言いがかりであり、風評被害・無用な心配を招きかねません。
そもそも中国は、日本の計画の年間22兆ベクレル以上の放射性物質を海洋放出しています。
中国にこのような事を言う権利はありません。
詳細は当サイトの過去記事で触れていますのでそちらを参照してほしいのですが、

原発の処理水を未だに「汚染水」と表現する福島瑞穂議員…実はトリチウム排出量は諸外国の方が日本よりはるかに多い　2021.12.11

中国と韓国のトリチウム年間排出量の部分を抜粋すると以下のようになります。

【経済産業省】トリチウムの年間処分量～近隣アジア諸国・地域の例～　2021年5月17日更新

国・原発名液体

中国　泰山第三原発（2019年）約124兆Bq

中国　陽江原発（2019年）約107兆Bq

韓国　古里原発（2019年）約91兆Bq

引用：https://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/hairo_osensui/pdf/alps_kanren_2.pdf

国・原発名	液体
中国　泰山第三原発（2019年）	約124兆Bq
中国　陽江原発（2019年）	約107兆Bq
韓国　古里原発（2019年）	約91兆Bq

福島第一原発の放出計画の年間最大22兆ベクレルに対して、中国の原発は約124兆ベクレル、約107兆と桁違いの量です。

ちなみに、原子力規制委員会への申請については東京新聞がこんな記事を書いています。

【東京新聞】東電が福島第一原発の「処理水」放出へ、実施計画を申請　地元の理解見通せぬまま　2021年12月21日
東京電力は21日、福島第一原発の汚染水を浄化処理後も放射性物質トリチウムが主に残る水（処理水）の海洋放出に向け、必要な設備の設計などをまとめた実施計画を原子力規制委員会に申請した。

引用：https://www.tokyo-np.co.jp/article/150290

「汚染水を浄化処理後も放射性物質トリチウムが主に残る水（処理水）」って何だ！？
処理水を後ろにして（）付きにしていますが、そこまでしてでも「処理水」と言いたくないのですね。
日本語としても違和感がありますし、科学的な視点は抜きにどうしても「汚染水」と強調して言いたいようです。
風評被害が広がったらどうするつもりなのでしょう。これが社会の公器のやる事か！と思いませんか。

4月にも中国は日本批判を展開していた

2021年4月にも、処理水海洋放出について中国は日本批判を展開していましたが、その当時の各新聞社の報道記事をいくつかピックアップしてみましょう。

朝日新聞は「北京」と記者の記名があるので中国総局（北京）からの記事と思われますが、中国の代弁者かのような日本批判の記事を掲載しています。
見出しからして「現代文明国家の行いではない」と凄まじい表現で日本を罵っていますね。

【朝日新聞】中国「現代文明国家の行いではない」　処理水放出を非難　2021年4月15日
https://www.asahi.com/articles/ASP4H7VHGP4HUHBI037.html

東京新聞も同じくです。「北京」と記者の記名入りでほとんど同様の見出しを付けています。

【東京新聞】「文明国家のやることではない」　中国、福島第一原発処理水の海洋放出撤回を要求　2021年4月16日
https://www.tokyo-np.co.jp/article/98498

どちらも、「中国がそう言ったのは事実だからそれを報道しただけ」とでも考えているのでしょうが、何の論評も無くそれをやると事実報道のフリをした、ただの中国共産党政府の代弁者になってしまうのではないでしょうか。
中国の言い分は科学的にも無理筋ですし、なにしろ中国はそれ以上の濃度の放射性物質を放出しているのですから。

次は、中国外務省の趙立堅（ちょう・りつけん）報道官がTwitterで葛飾北斎のパロディ画像付きで日本非難の投稿をしていたという共同通信の記事です。
これまた何の論評や科学的な考察も無く「謝るべきは日本」と中国側に立ったかのような視点で、彼らの言い分そのままを見出しに掲載していますね。