兵庫知事選で日本ファクトチェックセンター「職員4割パワハラ見聞き」のファクトチェックに意義あり

兵庫知事選で日本ファクトチェックセンター「職員4割パワハラ見聞き」のファクトチェックに意義あり

ネット上の情報ばかりをファクトチェックし、新聞、テレビ等の既存メディア、オールドメディアをファクトチェックしてくれない「日本ファクトチェックセンター(JFC)」。
2024年11月に実施された兵庫県知事選においても、ファクトチェックしないといけないのはそこではない、むしろメディア側が流す情報をファクトチェックしろ、と言いたくなるような事案があったので紹介しておきたい。

今回ファクトチェックセンターは「斎藤前知事がパワハラをしていなかったとの主張が拡散」しているとして、ファクトチェックしていたが、判定結果は

兵庫県議会の不信任決議で失職した斎藤前知事はパワハラはしていないといった言説が拡散したが、根拠不明。

  • 【日本ファクトチェックセンター】斎藤前兵庫県知事はパワハラしていない? 職員の4割が見聞き、本人は厳しい叱責など認めて「必要な指導」【ファクトチェック】 2024年11月15日
    https://www.factcheckcenter.jp/fact-check/politics/false-saito-governor-harassment/

というものだった。
しかし違う観点から意義を唱えたい。
今回ファクトチェックすべき重要ポイントは、そこではないのだ。

兵庫県知事のパワハラ問題について、メディア側はどんな報道をしていたかを見ると、概ねこのような感じだ。
「職員の4割がパワハラ見聞き」
というものだ。皆さんもこうした報道に触れた覚えがあると思う。
しかし、ここには巧妙に隠された事実がある。

例えばNHKの報道やファクトチェックセンター自身が言うように、
「斎藤前知事のパワハラ『目撃、経験』140人『見聞きした』4割超」

なのだが、パワハラを実際に目撃または経験したのはパーセンテージで表すと2.1%なのである。

そこを2.1%という小さな数字を伏せたまま人数の140人という大きい印象を受ける数字を出し、一方では「見聞きした」というまた聞きを合算しての4割を大きく取り扱っている。

単位の違う数字をあえて並べている。
割合やパーセンテージで表すのであれば、2.1%と40%超とすべきではないか?

兵庫県の各種アンケート調査の最終集計結果を確認すると、

A:目撃(経験)等により実際に知っている
→2.1%

であり、続いて

B:目撃(経験)等により実際に知っている人から聞いた
→11.9%

C:人づてに聞いた
→28.4%

となる。4割超というのはB、C、またはAまでの複数の結果を合算しての数字である。

この報道に対してファクトチェックするのであれば、

「斎藤前知事のパワハラ『目撃、経験』140人『見聞きした』4割超」は誤解を招く表現、実際に「目撃(経験)等により実際に知っている」のは2.1%

となるのではないか?
私はパワハラが無かったとは言っていない。単位の違う数字を並べて印象操作をするな、という事だ。
それをファクトチェック機関ならば、しっかり指摘しろ。

はじめから玉石混交が分かっているネット情報よりむしろ、正義ヅラして正しいもののフリをした既存メディアこそファクトチェックすべきだ。

まあ、朝日新聞、毎日新聞の関係者が所属する日本ファクトチェックセンターには無理な話しか。

参考記事

  • 【NHK】兵庫 斎藤知事 “業務上の指導” 職員の約4割パワハラ見聞きに 2024年8月20日
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240820/k10014554141000.html
  • 【兵庫県ホームページ】「兵庫県職員アンケート調査」集計結果(全体)
    https://web.pref.hyogo.lg.jp/gikai/iinkai/index/tokubetsu/bunsho/documents/bunsho_questionnaire1011.pdf

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