琉球新報のファクトチェック『「玉城デニーは中国共産党の勢力」は誤り』をファクトチェックしてみた
2022年の沖縄知事選挙時に、「候補者の玉城デニーは中国共産党の勢力であるとフランスが断定している」という情報が流れていたのをご存知だろうか。
フランスのシンクタンク「フランス軍事学校戦略研究所(IRSEM)」が発表した報告書を受けての事だった。
この報告書によると、中国は世界で情報戦を展開しており、在外中国人による中国共産党のプロパガンダ工作、インターネットでの情報操作等、様々な情報工作実施しているそうだ。
また、中国は沖縄や仏領のニューカレドニアで独立運動を煽っているという。
ニューカレドニアが対象になっているのは「自由で開かれたインド太平洋」のクアッド(Quad)による中国封じ込めへの対抗らしい。
さらに、沖縄では憲法9条改正の反対運動、米軍基地への抗議運動を支援していると指摘している。
当サイトでも何度も同様の事を言及してきたように、本件についてはかなり信憑性があるし、事実だろう。
2021年に産経新聞が詳細に報道している。非常に参考になるので、ぜひ下記から参照ください。
- 【産経新聞】仏軍事研究所が「中国の影響力」報告書 沖縄を標的と指摘 2021/10/5
https://www.sankei.com/article/20211005-NUUIDJNRFBNITCGK6V4WJGAFHY/ - 【産経新聞】仏研究所が警鐘 中国の沖縄浸透工作 産経新聞パリ支局長 三井美奈 2021/11/7
https://www.sankei.com/article/20211107-JKWM6XZ7BBNQPI3PEB56TE3L7I/
琉球新報のファクトチェック
しかしながら、前述の産経新聞の記事には玉城デニー氏の名前は登場しないし、関与も指摘されていない。
ネット上で出回っていた「玉城デニーは中国共産党の勢力であるとフランスが断定」というのは誤情報だった訳だ。
この点について、在沖縄新聞の琉球新報が鬼の首でも取ったかのように『「玉城デニーは中国共産党の勢力」は誤り
』とファクトチェックをしている。
琉球新報のファクトチェック記事は下記。
- 【琉球新報】「玉城デニーは中国共産党の勢力」は誤り リンクの新聞記事にも「玉城氏」記載無し<沖縄知事選ファクトチェック> 2022年08月30日
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1574886.html
なるほど、この言い分自体は正しい。
ではあらためて俯瞰的にファクトチェックをしよう
琉球新報がファクトチェックをするなら、私も玉城デニー氏や沖縄にまつわる情報について、ファクトチェックをしてみよう。誤情報、デマとならないようにちゃんと情報ソースを示しながら。判定基準はファクトチェック・イニシアチブ(FIJ)のレーティングに従おう。
- 【ファクトチェック・イニシアチブ】FIJのレーティング基準
https://fij.info/introduction/rating
No1
- 在沖縄新聞の琉球新報は「沖縄は中国、ロシア、北朝鮮を味方につけて独立を志向した方がいいかもしれない」と主張した事がある
- 正確
No2
- 玉城デニー知事は中国の統治用語「一国二制度」を使って「沖縄の将来像として自治州的な一国二制度」を主張した事がある
- 正確
- 玉城デニー沖縄県知事、沖縄について「一国二制度」を提案!一国二制度とは中国の用語だ 2022.10.17
No3
- 玉城デニー知事は訪中時に中国副首相に「一帯一路、沖縄活用を」と提案した事がある
- 正確
- 玉城デニー知事は一帯一路で沖縄を中国に差し出すのか? 2022.08.30
No4
- 玉城デニー知事は、尖閣周辺に出漁した石垣市漁船に対し中国海警局の艦船が追尾した事件に関して「中国公船がパトロールしているので刺激するな」と語り、石垣市に抗議された事がある
- 正確
- 玉城デニー沖縄県知事「中国公船がパトロールしているので刺激するな」 2020.07.26
No5
- 公安調査庁は『中国は「琉球独立」に向けて沖縄での世論形成を図っている』と発表している。
- 正確
- 沖縄で中国に有利な世論を形成し、日本国内の分断を図る中国:公安調査庁がはっきりと言及 2020.08.31
No6
- 玉城デニー知事は国とは別に「外交」をするつもりで沖縄県庁内に「地域外交室」を設置
- 正確
No7
- 2018年の沖縄知事選で玉城デニー氏が当選した件について中国紙が「沖縄人民が日米に重大な勝利を収めた」と報じた事がある
- 正確
- 【レコードチャイナ】「沖縄人民が日米に重大な勝利収めた」と中国紙 2018年10月1日
https://www.recordchina.co.jp/b649710-s0-c10-d0054.html
以上、ファクトチェック・イニシアチブの判定基準に沿って実施してみた。
琉球新報は、ファクトチェックをするなら、こういった面についても言及するべきだ。そうでないと、フランスのシンクタンクの報告書までもがデマであるかのような印象を受けてしまう。
いかがでしたでしょうか。