静岡・川勝知事の女性蔑視発言と、東京五輪組織委員会・森会長の女性差別とされた発言の報道比較

静岡・川勝知事の女性蔑視発言と、東京五輪組織委員会・森会長の女性差別とされた発言の報道比較

静岡県の川勝平太知事が、2021年6月の知事選期間中に女子学生の容姿の綺麗さと学力・賢さを関連付けるような女性蔑視発言をしていた事が発覚してニュースになっていました。
2021年12月2日の定例記者会見で、この女性差別発言について謝罪し、発言を撤回したとの事です。

今回の川勝知事の女性蔑視発言を報じる新聞各社の報道姿勢と、2021年2月頃に東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が女性差別発言をしたとして猛批判を浴びせていた際の報道姿勢が全く異なるので、この2件について比較してみたいと思います。

まずは川勝知事が何を言ったのか正確を期すため東京新聞の記事から引用してみましょう。

【東京新聞】「顔のきれいな子は賢いことを言わないと…」静岡県の川勝知事が女性蔑視発言 「面目ない」と撤回 2021年12月2日
川勝知事は1日、報道陣に「誠にもって不適切な発言で面目ない」と非を認め、撤回した。

~中略~

学生の容姿に言及した上で「11倍の倍率を通ってくるからみんなきれい」「顔のきれいな子はあまり賢いことを言わないと、なんとなく、もうきれいになる。きれいに見られないでしょう」などと話した。

引用:https://www.tokyo-np.co.jp/article/146142

発言内容と、川勝知事が発言の撤回をした、という事実のみに淡々と触れています。
以下は同様の内容を報じる朝日新聞と毎日新聞の記事です。

  • 【朝日新聞】静岡・川勝知事「本当に恥ずかしい」 女性蔑視ともとれる発言を撤回 2021年12月2日
    https://www.asahi.com/articles/ASPD26X9NPD2UTPB005.html
  • 【毎日新聞】「女性蔑視」発言の報道を受け、川勝知事が謝罪「全て撤回」 2021/12/2
    https://mainichi.jp/articles/20211202/k00/00m/010/127000c

読んでいただければ分かりますが、発言内容と撤回した事実に淡々と触れるのみで東京新聞と同じような内容です。
辞任に追い込むような論調ではなく、社をあげて責任を追及するようなニュアンスもありません。

東京五輪組織委員会・森会長の場合はどうだったか

一方で、「女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかる」等と女性差別発言をしたとされる森喜朗会長の場合は大変な騒ぎで連日批判を浴びせていました。
当時どのような報道がなされていたか実際の記事を見てみましょう。
まずは朝日新聞から。

【朝日新聞】(社説)女性差別発言 森会長の辞任を求める 2021年2月5日
すみやかな辞任を求める。

~中略~

発言を撤回したが、会長職の辞任は否定した。
 それで許されるはずがない。

~中略~

女性理事ひいては女性全般を侮辱したのだ。責任は極めて重い。

引用:https://www.asahi.com/articles/DA3S14789266.html

社説で辞任を求め、発言を撤回しようが絶対に許さないという強烈な態度を示していますね。
川勝知事の記事では「撤回した」と淡々と触れていただけでしたがこの違いは一体どこから来るのでしょう。
東京五輪や自民党に何か恨みでもあったんでしょうか。
それとも過去に「天皇を中心とした神の国」と発言した時からの仇敵なんでしょうか。
次は毎日新聞の記事からです。

【毎日新聞】社説 森会長の女性蔑視発言 五輪責任者として失格だ 2021/2/5
女性を差別した発言であり、到底許されない。

~中略~

人のふるまいを性別によって分類し、やゆした発言だ。性差別に当たり、看過できない。

~中略~

一連の言動は、東京大会を率いる責任者としては失格だ。

引用:https://mainichi.jp/articles/20210205/ddm/005/070/110000c

こちらも社説で朝日新聞と同様に「責任者として失格」「到底許されない」「性差別にあたり看過できない」という強めの批判になっていますね。
次は東京新聞です。

【東京新聞】<社説>女性蔑視発言の森喜朗氏 五輪の顔として適任か 2021年2月5日
森氏は会見で発言を撤回したものの、女性任用に後ろ向きの姿勢を重ねて示すなど、どこまで反省しているのか疑わしい。

~中略~

森氏は辞任を否定したが、会長は大会の意義を深く理解する人物であるべきだ。

引用:https://www.tokyo-np.co.jp/article/84193

東京新聞も社説で「撤回したがどこまで反省しているのか疑わしい」「適任か」等と書いており、「辞任」というワードこそ使わないもののほとんど同様の趣旨となっております。
各社とも社説で森会長には辞任を迫るほど強い批判を浴びせているのが分かりましたが、前者の川勝知事の女性蔑視発言と比較して、あまりにダブルスタンダードが過ぎませんか。
本当に女性差別が許せないと考えているなら川勝知事に対しても同程度の批判を浴びせないといけないのではないですか。

なお、作家でジャーナリストの門田隆将氏によると、森会長の発言は元々、女性の方が優れているというような文脈だったそうです。

この森会長バッシングは、あえてその部分に触れずに一方的な印象操作・偏向報道で叩いていたと。
以下は産経新聞の記事です。

  • 【産経新聞】新聞の「使命」と「役割」を思い出せ 作家・ジャーナリスト 門田隆将 2021/3/14
    https://www.sankei.com/article/20210314-HJKE3KGT4BMNXD2V4TKA5AJQZI/

また、川勝知事に関してはリニア反対派である事や、親中派である事なども指摘されており、メディア側からの批判が甘い事と何か関連があるのかもしれません。
この辺りは次回以降の記事で言及してみたいと思います。

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