中国、高温超電導リニアで「浮上運行」成功。日本は鉄道インフラ建設を契機に国際世論を取り込めるか?

中国、高温超電導リニアで「浮上運行」成功。日本は鉄道インフラ建設を契機に国際世論を取り込めるか?

静岡県・川勝知事の反対の影響により2027年のリニアモーターカー開業が絶望視されてきましたが、JR東海・金子慎社長が3月9日の会見で、2027年開業が不可能だと認める結果となりました。
品川〜名古屋間の距離は286km、その間静岡県の工区はわずか8.9kmだそうですが、ここの着工が出来ないせいで開業が不可能になった訳です。
この川勝知事、リニア建設が進まないのを2022年には神奈川県のせいにする発言をしていた事もありました。最高速度500km、品川〜名古屋間を約40分で移動できるとなれば国内の経済的影響も大きかっただろう。とにかく残念だ。

そうこうしている間に、中国の鉄道車両大手の中車長春軌道客車は「高温超電導リニアの全要素試験システムの初の浮上運行」に成功。これは4月4日、新華社通信が報じたそうだ。
リニアモーターカー開業が中国に先を越されるかもしれない。
そうなったとしても「安全性の面から、中国製リニアは競合相手にならない」と主張する人もいる。本当にそうだろうか?

高速鉄道事故で転落車両を埋めた中国

2011年07月23日、中国浙江省温州市で起きた高速鉄道の追突・脱線事故。追突した4両が高架から転落し、死者40人、負傷者200人を出すという大惨事だった。
事故の原因特定や現場保全などをせず、車両を丸ごと埋め、事故から1日半で運行を再開するという人命軽視・証拠隠滅ぶりが凄まじかった。
捜索打ち切り後に2歳女児の生存者が発見されたというのも日本では考えられない。

そんな国のリニアなど誰が買うのか。そう思うのも無理は無い。
しかしそれは先進国の発想だった。

アフリカで影響力を増す中国

ケニアのナイロビ新幹線は中国の「一帯一路」のもと、2014年に建設が始まった。
2017年にはモンバサ〜ナイロビ間・全長480kmが開業。建設開始が2014年だというから、中国でのあの事故の後だ。

これ、中国が技術も資金も出した(約9割)そうだ。施工は中国交通建設集団だという。
ケニアはこの工費約36億ドルを中国輸出入銀行から借り入れており、利息分も含めた返済を義務付けられているというから、何だか一頃流行った「貸しはがし」を思い出す。
ところが、ケニアではそんな新幹線でも便利になったと大変喜ばれ、中国に感謝しているそうだ。日本の新幹線のような「高い安全性、遅延のない運行システムだが割高なもの」は要らないという事だろう。
返済も出来る目処があるのか無いのか、踏み倒す可能性もあるかもしれない。

【画像】ケニア国旗のイメージ

いまやアフリカの最大の貿易相手国は中国だ。
中国はそうやってあの手この手でアフリカに食い込み、資源、経済だけでなく国際世論の取り込みにも力を入れている。
国連では欧米先進国の一票も、アフリカの一票も同じだ。岸田首相がアフリカ支援に力を入れているのはそういった周辺の事情がある。

リニアは輸出産業でもある

アフリカだけではない、アジア諸国も同様で、例えば2015年9月にはインドネシアの高速鉄道受注で日本が先行していたが中国に逆転負けした。

リニア開発・建設が中国に先を越されると「世界初の長距離の高速リニア」という事で安さ以外のアドバンテージも与えてしまうかもしれない。実際、JR東海はリニアを輸出産業としても捉えている。日本の影響力を広げるチャンスをみすみす逃す事にもなりかねない。

リニアが日本で開業できないのは単純に「ああ、早くリニアモーターカー乗りたかったね、残念だね」では済まされない。国内の経済の活性化、国際世論の取り込みを急げ。静岡県民は次の知事選挙で何とかしてくれないか。

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参考記事

  • 【Smart FLASH】JR東海「リニア2027年開業」無理だとついに認める…川勝静岡県知事、執念の工事妨害史 2023.03.10
    https://smart-flash.jp/sociopolitics/225437/1
  • 【Smart FLASH】中国リニアが初の「浮上運行」成功、日本は「2027年開業」困難で「日本人の夢をドブに捨てる気か」SNSで集まる危惧の声 2023.04.04
    https://smart-flash.jp/sociopolitics/229489
  • 【PRESIDENT Online】人命最優先では経済発展は望めない…アフリカ人が「すぐ壊れて、人も死ぬ中国製の鉄道」を愛するワケ 2022/08/25
    https://president.jp/articles/-/60714
  • 【東洋経済ONLINE】ナイロビ新幹線を中国企業が受注した驚愕の理由 2021/07/27
    https://toyokeizai.net/articles/-/440772

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