中国がブータン領内に勝手に居住区建設で海外メディア「領土拡大の既成事実化」、朝日新聞「国境画定へ」
ヒマラヤの小国ブータンと、軍事大国・中国の国境は約400km。
ブータンは常任理事国とは国交を持たない非同盟中立主義だそうで、中国との正式な国交は持っていない。もちろんアメリカとの関係もそうだ。
間を取り持つのは防衛の後ろ盾を担うインドとなる。
一方的に入植を始めた中国
そのブータンに対して、中国は入植計画を2017年に発表、2020年に建設が始まったという。
2023年12月15日のニューズウィーク日本語版の記事によると、12月7日にアメリカの衛星写真会社の衛星写真で、ブータン北部の係争地での大規模な入植地建設がはっきりと写っていたそうだ。同社マクサー・テクノロジーズは2020年から度々、同様の報告を続けてきた。
ブータン北方に入植地を作り始めたのは、インドの影響力が薄いからであると考えられている。
インドとの軍事衝突
中国はブータン東部でも領有権を主張し始めているし、西部のドクラム高原地域では2017年にインドと武力衝突を起こしている。
2020年にはさらに大規模な紛争に発展した。
中国が最終的に狙っているのは、軍事的ライバル関係にあるインド領土の分断である。
実際、中国はインドが実効支配している北東部アルナチャルプラデシュ州内に勝手に漢字名称をつけ「有史以来の中国の領土」と主張している。
橋をかけ、軍事物資を送りやすくもしている。
スプラトリー諸島(南沙諸島)に軍事基地を建設し領有権を主張しているのと同様だ。
朝日の見出しは「国境画定」
係争地において勝手に施設を建設、入植を始めるのは明白な領土拡張、侵略行為だろう。
ブータンは中国よりもはるかに小国であり、ある程度領土を譲らないと国境問題が解決しないと考え、その方向で交渉をはじめてしまっているようだ。
軍事的圧力に負け、長年の交渉が水の泡となる。
ちなみに、ニューズウィークは中国のブータンへの浸出について、記事見出しに『領土拡大の「既成事実化」
』と侵略であると分かるように書き、朝日新聞では『国境画定へ動き加速
』と平和的解決風に書いている。日経新聞でも『国境問題の解決遠く
』である。
一方的に入植し始め領土拡張を狙うのが朝日新聞にかかると「国境画定へ動き加速」という見出しになってしまうのである。
やはり、まともな軍事力を持たず他国に防衛を依存する国は、こうやって徐々に領土を切り取られ、入植者が大量にやってきて中国化してしまう。
極東にもそんな国があったっけ?
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参考記事
- 【ニューズウィーク日本語版】中国が「隣国の国内」に居住区を建設、写真で明らかに...領土拡大の「既成事実化」に呑まれる小国ブータン 2023年12月15日
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2023/12/post-103241.php - 【朝日新聞】中国とブータン、国境画定へ動き加速 インド揺さぶりの狙いも 2021年10月18日
https://www.asahi.com/articles/ASPBL6GKJPBKUHBI00C.html - 【日経新聞】ブータン、国境問題の解決遠く 2023年11月26日
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO76418770V21C23A1TM5000/