中国・ロシア海軍艦艇の計10隻が日本列島を一周する事態の報道で、中国側に立つかのような記事を書くテレビ朝日

中国・ロシア海軍艦艇の計10隻が日本列島を一周する事態の報道で、中国側に立つかのような記事を書くテレビ朝日

防衛省は23日、中国・ロシア海軍艦艇の計10隻が、津軽海峡と大隅海峡を通過し日本列島をほぼ一周するかたちで東シナ海に抜けるという異例の航海をしたと発表しました。
ルートとしては、

  • 10月18日:津軽海峡を通過
  • 10月20日~21日:千葉県犬吠埼沖、小笠原諸島を南下
  • 10月22日:高知県足摺岬沖
  • 10月23日:長崎県男女群島沖を通過し東シナ海へ

というもので、中国・ロシアの海軍艦艇が一体となって航行するのが確認されたのは初めてであり、これまでにない連携によって更に軍事的緊張が高まるものと思われます。
衆議院選挙による政治的空白期間に実施されたのも偶然ではないでしょう。

また、この間ただ航行していただけでなくミサイルの発射訓練を実施したり、ミサイル駆逐艦の艦載ヘリを発着艦させたため航空自衛隊の戦闘機が緊急発進(スクランブル)する等の事実があったようです。
以下にこれらを報道する各社の記事を引用しておきます。

【時事通信】中ロ、日本取り巻き軍事演習=結束誇示、対米けん制も―津軽、大隅両海峡通過 2021年10月24日
中国海軍のフリゲート艦「浜州」は19日に対潜水艦ミサイルの発射訓練も行った。

引用:https://www.jiji.com/jc/article?k=2021102400228&g=int

【産経新聞】中露10隻、大隅海峡も通過 日本列島を一周 2021/10/23
23日午前10時ごろには、長崎県男女群島の南南東約130キロで、中国のレンハイ級ミサイル駆逐艦の艦載ヘリコプターが発着艦するのを確認した。

引用:https://www.sankei.com/article/20211023-QXYAAIHCOJLAHMLQWJIOHCQED4/

【産経新聞】中露艦艇航行に懸念表明 防衛相、米海軍長官と会談 2021/10/25
両国海軍が伊豆諸島周辺や東シナ海で艦載ヘリコプターを発着艦させたことに対し、航空自衛隊の戦闘機を緊急発進(スクランブル)させたとも明らかにした。

引用:https://www.sankei.com/article/20211025-4DB5MSH5OFL4VL6656EJ44AOZE/

こうなるとただの航行ではなく、あからさまな挑発・威圧行為ですね。
この事態に対し岸防衛相は「わが国に対する示威活動を意図したもの」とはっきりと言及しており、深刻さを認識しているものと思われます。
以下に岸防衛相の発言を報道した読売新聞の記事を示しておきます。

  • 【読売新聞】岸防衛相、中露軍艦の津軽・大隅海峡通過は「わが国に対する示威活動」 2021/10/26
    https://www.yomiuri.co.jp/politics/20211026-OYT1T50229/

中国は、米・カナダ海軍が台湾海峡を通過した際に「平和と安定を深刻な危険にさらしている」と批判していた

この行為に対し、中国は「国際法を順守」「特定の第三国を想定したものではない」等と主張していますが、当の中国自身が過去に以下のような主張をしています。

【CNN】中ロ合同艦隊が日本を「一周」、これが大きな出来事である理由 2021.10.27
中国の「偽善」
中ロの合同パトロールは最後に大隅海峡を抜けるルートを通ったほか、週の前半には本州と北海道を隔てる狭い津軽海峡を通過した。このルートも大きな注目を集めている。

中国政府は米海軍などが台湾と中国本土を隔てる台湾海峡を抜けるとき、不安定化を招く動きだと非難しているからだ。

たとえば、米国とカナダの軍艦が台湾海峡を今月通過した後、中国軍東部戦区は両国が「問題を起こす」目的で共謀し、同海峡の「平和と安定を深刻な危険にさらしている」と批判した。


しかも、最も狭い場所でも160キロの幅がある台湾海峡は、日本の島々の間の水路に比べて規模が大きい。大隅海峡は最も狭い場所では27キロに過ぎない。

引用:https://www.cnn.co.jp/world/35178591.html

※赤字部分引用者注
台湾海峡を航行したアメリカ・カナダを批判しておきながら、自らはロシアと結託して日本の「平和と安定を深刻な危険にさらしている」わけだ。
ここまではっきり言えるのは、やはりCNNという海外のメディアだからだろうか。
日本のマスコミには、ここまではっきり「中国の偽善」とは言えないだろう。

また、中国のメディアは今回の航行について「やんわりとした威嚇」だと自白してしまっている。
以下引用です。

【日テレNEWS24】中露“日本を一周”初の合同巡視活動 10/25(月)
中国メディアは専門家の話として「巡航は一部の国家が挑発を繰り返すことに対しての『やんわりとした威嚇』であり、当然、日本とその後ろにいるアメリカを揺さぶるためだ」と伝えています。

引用:https://www.news24.jp/articles/2021/10/25/10962546.html

やはり、中国メディアが自ら主張しているように、軍事的な威嚇、圧力だととらえるべきだろう。

それでも中国をかばうテレビ朝日

この事態を伝えるマスコミ各社の報道姿勢を注視していましたが、最も中国側に立った酷い報道だと感じたのが以下に引用するテレビ朝日のニュースです。

【テレ朝news】異例…中ロの艦隊 ぐるりと“日本一周”その狙いは 2021/10/25
日本列島を1周するかのような動き…。このルートに沿って、中国とロシアの海軍による「合同巡視活動」が行われていました。
~中略~
 ちなみに、「津軽海峡」や「大隅海峡」は領海法で中央部分に関しては、どこの国にも属さない海域であると設定されているため、通過しても法的に問題はありません。

 中国側は、今回の活動に関し、「他国の領海に進入しなかった」「第三国をターゲットにしたものではない」と説明。
~中略~
 笹川平和財団・小原凡司上席研究員:「今回はあくまで戦略的コミュニケーションの一環。日本に対して強い政治的なメッセージを伝える。『アメリカに近付くな、中国に融和的になれ』というメッセージです」

 任務を終え、船の上でエールを送り合う兵士たち。

引用:https://news.tv-asahi.co.jp/news_politics/articles/000232986.html

※赤字部分引用者注
テレビ朝日が言うには『今回の中露の航行は「合同巡視活動」であり、津軽海峡や大隅海峡を通過しても法的に問題は無いうえに、他国の領海にも進入せず第三国をターゲットにしたものでもないし、あくまで戦略的コミュニケーションの一環であって中国に融和的になれ、というメッセージに過ぎない』という事です。
最後には「任務を終え、船の上でエールを送り合う兵士たち」と締めくくっています。
よくやった!あっぱれ!とでも言わんばかりではないですか。

危機感の欠如を通り越した明白な親中派でしょう。
にわかには信じがたい報道姿勢ではないでしょうか。
日本にこんなメディアがあることを知らしめたいと思っています。

※アイキャッチ画像は防衛省のwebサイトから。

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