中国による新疆ウイグルでの「ジェノサイド」「強制不妊手術」「強制労働」を否定する東京大学教授

中国による新疆ウイグルでの「ジェノサイド」「強制不妊手術」「強制労働」を否定する東京大学教授

東大に新疆ウイグルでのジェノサイドを否定する教授がいる事をご存知でしょうか。

この教授は強制不妊手術についても、「農村のウイグル人には子供が多く貧困から抜け出せないので自治区政府の方策としての出産制限の強化であり、強制ではない」という説明をしている。
また、「不妊手術を受けると年金が貰えるので自発的に不妊手術を受けている、これは経済的なインセンティブなのだ」とも主張している。
やや長いが、ニューズウィーク日本版から、この丸川教授が執筆した記事を引用してみよう。

【ニューズウィーク日本版】新疆における「強制不妊手術」疑惑の真相 2021年6月24日
ウイグル族が集住するホータン、カシュガル、クズルスなど南疆では、子供が多くてなかなか貧困から抜け出せない状況にあることから、自治区政府は2005年から農村での出産制限を強める方策を打ち出した
〜中略〜
すなわち、3人子政策が適用されている農村の少数民族夫妻が子供を二人もうけたところでストップすれば「計画出生父母光栄証」が与えられ、子供を一人もうけたところでストップすれば「一人っ子父母光栄証」を貰える。ストップするとは、「長期的な出生抑制措置をとること」とされているが、これはすなわち不妊手術を意味しているとみられる。
この光栄証は単なる賞状ではない。その父母には生涯にわたって1人あたり年間600元の年金が支給されるのである。

引用:https://www.newsweekjapan.jp/marukawa/2021/06/post-72.php?page=3

新疆における「強制不妊手術」疑惑の真相 2021年6月24日
この経済インセンティブこそが新疆で不妊手術が多かった主たる理由であろう。このインセンティブが「農村の少数民族夫妻」に対してのみ与えられていたので、少数民族集住地域で不妊手術が多いのである。

引用:https://www.newsweekjapan.jp/marukawa/2021/06/post-72.php?page=4

これらの論拠はいずれも『新疆統計年鑑』や中国側の発表内容から導き出した推論であるが、何故こうも中国の公式統計・発表をそのまま信用してしまうのだろう。
軍事にしろ経済にしろ、一党独裁の中国政府が発表している統計情報をそのまま鵜呑みには出来ない。独裁政権にとって都合の良い嘘や誇張や隠ぺい工作がされていると見るべきだ。

さらに一連の記事の中では『100万人を再教育施設に強制収容した、とされる問題については、その人数についてはともかく、数多くの証言もあるし、中国政府も「再教育」を行ったことは認めている。』としながらも、全体的なトーンが中国擁護の姿勢なのはどういう事なのか。
中国政府がウイグル人を強制収容して再教育しているのは、このような人物でさえも認めざるをえない事実である事は確かなようだ。
それにしても「その人数はともかく」という一文には空恐ろしさを感じる。

また、2021年8月16日に実施された講演でも中国の公式の統計を基にジェノサイドと言えるような事は起こっていないと同様の説明をしたそうです。
この講演の内容は早速中国のメディアで記事にされており、中国の主張を強化するような発信として利用されております。
以下はレコードチャイナからの引用です。

【Record China】新疆「ジェノサイド」の証拠なし=「少数民族人口急減」「不妊手術強制」は論拠薄―丸川東大教授 2021年8月16日(月)
丸川知雄・東京大学社会科学研究所教授が「新疆人口問題の捉え方」と題して講演。新疆ウイグル地区での「ジェノサイド」の証拠をつかんだとする論考などについて、中国の公式統計を基にそれらの妥当性を検証した。
〜中略〜
「『ジェノサイド』というほどのことが起きている証拠はまだ提示されていない」と指摘した。

引用:https://www.recordchina.co.jp/b880948-s25-c100-d0199.html

なお、この教授は別の記事で『新疆の綿花畑では本当に「強制労働」が行われているのか?』という主張をしている事も忘れずにあげておきたい。

  • 【ニューズウィーク日本版】新疆の綿花畑では本当に「強制労働」が行われているのか? 2021年04月12日
    https://www.newsweekjapan.jp/marukawa/2021/04/post-69.php

このような主張をする東京大学教授が居る事を知っておくべきだろう。

統計に基づく中国擁護は、中国の言い分と同一

中国の王毅外交部長は、新疆ウイグルでのジェノサイドへの言及は日米による内政干渉であり、デマであると発言しているが、その根拠に統計情報をあげている。
以下は中国駐大阪総領事館サイトに掲載された王毅外交部長の発言からの引用です。

【中国駐大阪総領事館】王毅外交部長が中国の内政に干渉する米日の発言に厳しく反論 2021/08/05
中国の新疆ウイグル自治区政府はオープンかつ透明性ある姿勢で,事実と統計を用いて様々なデマに反論し,ウイグル族の人々を含む新疆の少数民族の人々も次々に立ち上がり,自らの経験によって様々な虚偽情報に反撃している.

引用:http://osaka.china-consulate.org/jpn/zrgx/t1897644.htm

中国の統計情報や公式発表が信用ならないのは、今更ここで言うまでもない。
第一、現在のコロナ禍も、そもそもは中国が情報を隠蔽し初動が遅れたからこそ世界中に広がったものではないのか。
中国の情報戦略に乗ってしまってはならない。

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