フジテレビ不祥事に対し甘い追及の他メディア、業界癒着の構造

元SMAPの中居正広が、20代女性との間で「深刻な性的トラブル」が生じ、9000万円ほどの“解決金”を支払ったという。
ここまでなら、ここでとりあげる話でも無かったが、その後、件の女性がフジテレビのアナウンサーだった事が判明してから流れが変わっていく。
当事者女性は、フジテレビの編成幹部に仕組まれて被害を受け、社内で数人の幹部に相談したが取り合ってもらえなかったと告白している。
さらには別の現役女性アナウンサーもフジテレビ幹部社員にホテルで「性接待」をアテンドされた事があると告白。
フジテレビには女性アナの接待「上納」システムがあったという事だ。
この女性トラブルは海外メディアで取り上げられ、フジ・メディア・ホールディングスの株主である米ダルトン・インベストメンツは「フジテレビには企業統治に深刻な欠陥がある
」として、第三者委員会の設置を求める書簡を送った事を明らかにしている。
外圧が無いと変われないのか?なんとも情けない。
批判噴出の社長会見
この状況にさらに火に油を注ぐかのように批判の声を大きくさせたのがフジテレビの港浩一社長の会見だった。
まず、その会見日だ。1月17日は阪神・淡路大震災後があった日で、マスコミは朝から晩まで追悼ニュース一色になる日である。相対的に自らの会見のニュースが小さくなるように、わざとこの日を選んだのか?
そうとしか思えない設定ではないか。
しかも生中継・配信はおろか動画撮影までも禁じられ、NHKや民放各局の記者からの質問も禁じられていた。
テレビ局の記者会見で、テレビ中継、質問お断りとは。
自らが矢面に立たされると途端に守りに入る姿勢は不信しか生まない。
これまで、他業種企業が不祥事を起こした際は生中継で追求してきたのではなかったのか?
政治家への追及は尚更だ。
自社社長にそれは許さない、というのはあまりにスジが通らない。
港社長によると、2023年6月にはトラブルを把握していたものの公表しなかったというが、社をあげての隠蔽ではないのか?
また、港社長は会見での質問にほとんど答えられず、回答はございません、お答えできない、控えさせてくださいを連発。
調査委員会を立ち上げるとしたが、これは日本弁護士連合会のガイドラインにもとづくいわゆる「第三者委員会」ではないという。
これで客観的な調査ができるのか?
典型的な危機管理の出来ていない社長会見だろう。
社長会見後に相次いだCM差し止め
この記者会見後、フジテレビに対してCM差し止めをする企業が相次いだ。
21日の報道ではトヨタ自動車、任天堂、花王、サントリー等、累計80社近くが既にCMを差し止めており、公益社団法人ACジャパンのCMへの差し替えが進んでいる。
不買運動でも起こされたら、たまったものではないので企業側としては当然の判断だ。
視聴者としては性接待アテンド疑惑もそうだが、これまでマスコミ側は散々暴力的な取材を行っておきながらいざ自身に疑惑の目が向けられると茶番のような社長会見で逃れようとした態度そのものに怒りを覚えるのだ。
大企業が重大な不祥事を起こした場合、その企業の社長らが頭を下げる映像をテレビで流してきたのはフジテレビだ。
繰り返すが、そのフジテレビ自身は映像撮影禁止にし、質問する記者にも厳しい制限をかけるとはあまりに身勝手が過ぎるだろう。
今後、どのツラ下げて会見取材や報道をするつもりなのか。
この空前の大不祥事は同局だけでなくメディア業界全体への信頼を揺るがせている。
にもかかわらず、他メディアによるフジへの追及は甘すぎる。例えばジャニーズ問題のときは、しつこく繰り返し繰り返し叩き続けてきたのではなかったのか?
モリ・カケ疑惑の時の安倍氏への執拗な追及ぶりを思い出してほしい。
フジテレビ社長に対して、そうならないのは業界の癒着や暗黙の相互擁護を十分に疑わせるものがある。
一視聴者としては、放送免許取り消しも視野に入れて徹底追求してほしい。
参考記事
- 【ENCOUNT】フジ、中居正広問題での社長会見を「記者クラブのみ」で強行へ…理由は「会見場が狭い」 生中継、配信もNG 2025/1/16
https://news.yahoo.co.jp/articles/597eb04930648aa2d8325178b5aac8c399f59b91 - 【読売新聞】フジテレビに不信増幅、異例のCM差し止め80社近く…キッコーマン提供の「くいしん坊!万才」休止 2025/01/22
https://www.yomiuri.co.jp/national/20250121-OYT1T50180/